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きねぶちです。
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地下鉄御堂筋線梅田駅改札を出てすぐにりそな銀行のATMが見えた。

私はなるべく時間外ではお金は下ろさない。

時間外手数料がかかるからである。

あれはどうもおかしい。

あの自動的にお金を出し入れする機械に、なんのお手数をおかけしたというのだろうか。

なぜ夜から朝にかけて、手数料というものをとられるのか。

もし深夜帯に限って中に人、仮にアトムさんとしよう、

そのアトムさんが中に入っていてせっせと預金残高を調べて、

入力された金額を取り出し口に放り込んでいるのなら、

お手数をおかけしますアトムさん、

とお辞儀するところだが。

そのような不平不満が銀行側に伝わったのか、

ようやく重い腰をあげ、りそな系列のATMならば手数料をとられることはなくなった。

もう、残高の百の位が9とかになって、手数料めこの野郎!と悔しい思いをしなくてすむ。

そんな昨日の敵、今日の友、りそな銀行ATMを尻目に阪急電鉄梅田駅へと向かう地下道を急ぐ。

PM11:00ともなると、目を覚ましてよなどと歌っている暇もないほどびゅんびゅんと人が行きかい、

立ち止まることを許さない見えない力を感じさせる。

それゆえに、今夜のように人が折り重なって倒れていようとも、

私は足をとめて手を差し伸べることができなかった。

あと少しの勇気を振り絞れなかったことが悔やまれる。

彼らは売店横のスロープの真ん中で倒れていた。

どこかで見たような顔だった。

こちら側から助けに行くには、階段を上りきるか、引き返すかして、ぐるりと迂回しなければならない。

さらに言い訳をしてしまえば、私は人目が怖かった。

何かが原因で倒れている人を助けるという、血の通った人間であれば至極当然の行為を、

距離的煩雑と衆目の拒絶のために、諦めた。

「あれは確かに2人だった。」

特に下敷きになっていたほうの苦痛に歪んだ顔が今も脳裏に浮かぶ。

せめてどちらか一人でも私が助けていたならば。

そんなどちらつかずの考えを巡らせていたとき、

ある違和感を覚えた。

何かが原因で倒れていた。

何が原因で倒れていたのか。

あのような光景は珍しい。

まず折り重なって倒れている。

ちょうど体を半分にしたような形で、そこに2人重なっているのが明らかである。

そして、行きかう人が誰一人として彼らに興味を示さない。

誰も見向きしていないように思える。

もしかしたら、自分と同じような考えで救助を諦めた人もいたかもしれないが、

何よりその光景に人為的な、孔明の罠めいたものを感じた。

その直感は、救助しなかったという後悔に対して、

自分の中で正当化するために故意に錯覚したものかもしれない。

しかし今でもこの直感を、私は信じたい。たとえ正当化のためであろうとも。

その直感を膨らませると、こういうことになる。

<パターン1>
彼らはそっくりさんで、助けるとのちのちお縄になる。

<パターン2>
助けようとして触れると、上から我々をすっぽり覆うカゴが振ってくる。

<パターン3>
糸が貼り付けられていて、触れようとすると、するすると逃げていく。

パターン1は事故か故意かでその度合いは違うが、いずれにせよ悪質である。

一時期クローン技術による人権問題などが囁かれたが、

それよりもっと昔から、クローン技術問題は起こっていたのだ。

対策を講じれば、それに対して行く通りも抜け道を探し、人をあるいは機械をだます。

対策が完璧そうに見えれば見えるほど、彼らは燃えるのかもしれない。

パターン2,3について厄介なのは、

行きかう人が皆エキストラで、

この光景が磁気テープなり円盤なりの形で残されようとしている場合である。

衆目拒絶するような私にとって、最も恐ろしい事態だ。

私の救助を、策略家たちは今か今かと待ち続けていたのだ。

そして、2人に近づいていくその一歩一歩にハラハラし、ドキドキし、ニヤニヤしていたに違いない。

エキストラにそんなにお金をかけるわけにはいかないはずだから、彼らは何度も行きかわされていたであろう。

自分の通るタイミングで被験者がはまれば、そつのない演技をこなし、次も雇ってもらえる可能性が出てくる。

もしエキストラを大量採用するほど予算が余っていれば、

もう少し倒れている人を増やすなり、福沢と配役交代させるなりしたかもしれない。

しかしそこは彼らも躊躇った。

あの福沢が倒れているともなれば、勘の良い私でなくとも怪訝そうな顔をするであろう。

限界ぎりぎり、一番食いつきそうな状況、それが彼らの出した結論、野口2人であった。

この計略の敗因は、人選ミスに他ならない。

ひとつは、私を標的に選んだこと。

あの仕掛けに違和感を覚えるのは私ぐらいのものである。

また、人目をはばかる性分も誤算であったに相違ない。

さらに、仕掛けるスタッフにA型の人間を選んだこと。

あれだけぴっちり折られ、さも2人いますよというようにしっかりと見せ付けるような倒され方。

几帳面すぎた。

最後に、野口を選んだこと。

確かに私は、手数料という名の誘拐犯に野口をさらわれれば、怒りをあらわにせずにはいられない。

そこまではよく調査したと思う。だからといってはいそうですかと野口を仕掛けるのは安直すぎやしないか。

私は、野口を助けるぐらいなら、聖徳太子や伊藤博文といった人たちを助けたい。

それは今現在、あまり目にしない人たちだからである。

そのような稀有な状況であれば、さすがの私であっても見過ごすわけにはいかない。

むしろよくぞ仕掛けてくれたといって、喜んではまってやろう。

その落とし穴に落ちてやろう。

野口では踏みとどまってしまう。

ここでも私の性分が誤算であった。

今頃、策略家たちは苦渋に満ちた表情であろう。

そして作戦会議を振り返り、原因の究明を図っているのだ。

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無題
暇人!!

書いてるお前も、読んでる俺も。。。
ちゅん 2008/02/23(Sat)09:28:54 編集
ふははは
簿記明日?日付的に今日?
がんばれ!!!!!!
きねぶち 2008/02/24(Sun)02:41:56 編集
無題
あなたのようなお人が、何故一学生でとどまっているのか、小生には理解しかねます。

この狂おしく才気に満ちた世の中に、乾杯。
おの 2008/02/24(Sun)04:19:38 編集
何を
おっしゃいます、あなたこそ。

まさかそんなラブコールをいただけるとは思ってもみませんでした。

乾杯。
きねぶち 2008/02/24(Sun)07:58:05 編集
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1984/10/19
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きねぶちです。
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